格下ベトナムに完勝も…なでしこが喜べない沢の“存在感”
15年カナダW杯 予選兼アジア杯
「正直、このアジア杯で存在感を示されたら示されたで、ノリさんは困っちゃうよな」
報道陣の間では、こんな声でもっぱらだ。
16日、15年カナダW杯予選を兼ねたアジア杯で開催国ベトナムを下したなでしこジャパン。記者たちが囁くのは大黒柱のMF沢穂希(35)のことで、「ノリさん」とはもちろん、佐々木則夫監督(55)のことである。
「例えば、今年3月のアルガルベ杯決勝でなでしこが0-3と完敗した強豪ドイツは、20歳以下の若手が台頭し、来年のW杯に向けて順調に世代交代が進んでいる。いまだ主力のほとんどを3年前のW杯優勝メンバーが占めているなでしことは対照的。一番の問題が沢で、彼女が中心にいる限りはますます新陳代謝が進まない。頭痛の種です」
と、いうわけだ。
■初戦はベンチ
なでしこの象徴も、32歳で成し遂げた11年のW杯優勝が選手としてのピーク。あれから3年、今年9月で36歳になる沢は衰えとの戦いを強いられている。スタミナ、スピード、回復力の衰えは顕著。経験、戦術眼でなんとか面目を保っている状態だ。要するに今の沢のストロングポイントはキャリアだけ。技術はまだ若手に負けないだけのレベルをキープしているとはいえ、それを発揮できるのはスタミナとスピードと集中力があってこそだろう。今年の沢はリーグ戦でも精彩を欠き、このアジア杯でも初戦のオーストラリア戦はベンチを温めた。