本田圭佑「虚像と実像」(16)「VVV移籍で言動が変わった」
「あくまで私個人の印象ですが、圭佑の言動はVVVに行ってから明らかに変わった。それまでは指示を出して正確なパスを出せばいい、試合結果よりも自分のプレーができていればいい、という感じでした。それがVVVでは〈FWは点を取るのが仕事〉という意識を強く持つようになった。圭佑は〈自分の失敗をいつも成長に変えられる男〉だと思います。いきなりオランダでつまずいたことが、彼の人生の大きな分岐点になったと思います。VVV入団以降、得点への執着心が強くなり、CSKAモスクワや日本代表の主軸としてプレーするようになってからも、見違えるようにゴールを量産するようになりましたから」
■ピッチ外でも「激変」
オランダに渡り、サッカー選手として一段も二段も成長した本田は、ピッチ外でも大きな変貌を遂げた。「髪の毛を鮮やかな金色に染め上げる」「ド派手なファッションに身を包んで悦に入る」ようになったのである。
中学時代は赤のタンクトップを着て過ごし、秋になるとダウンジャケットを羽織って寒さをしのぐ。Jリーガーになっても黒髪でプレー。オフはジーンズにジャケット程度のカジュアルなファッションだった。そんな男の激変ぶりに周囲は失笑したり、小バカにしたが、そこには本田なりの「海外で生き抜く術」が隠されていた。