本田圭佑「虚像と実像」(15)「ネガティブなことは書くな!」
「本田ノート」は小4から始まった
1964年、東京五輪にカヌー日本代表として出場した大叔父・大三郎。レスリングで3大会連続の五輪出場を果たした、いとこ違いの多聞(現本田多聞レスリングスクール代表)。日本のトップアスリートとなった2人には共通項がある。「ノート取り」を続けたことだ。
五輪レベルの競技力を身につけるためには、「常に自分を見つめ直す」必要がある。そう思った大三郎は、練習メニューや気付いたことなどを書き記す「ノート」の重要性を認識していた。
ノートがあればいつでも読み返し、自分自身の足跡を振り返ることができる。多聞にもそう言い聞かせ、幼少期からノートを取らせていた大三郎は、本田にも小学4年の時に「これからは毎日、書くんだぞ」と言って表紙に「サッカー練習日誌」と大書した新品の大学ノートを手渡す。あわせて書き方の極意を教えた。
ページごとに大きく枠取りをし、一番上から日付、体重と脈拍、小・大便の回数、起床時間、就寝時間を書かせた。何を食べたのか、食生活の項目も作らせた。ノートの下半分には練習内容、コンディションの良しあしを記させた。その上で大三郎は、ノートを取る際の「禁止事項」も伝授した。