本田圭佑「虚像と実像」(13)裏口と揶揄されたヘタクソが…
「石川の星稜に体が大きくて、個人技がズバぬけているFWがいる」
本田が高校2年になると、全国のJリーグ関係者にそんな情報が流れるようになった。
話題の主はガンバ大阪ジュニアユース出身で、「ヘタクソ、裏口から入ったんか?」と揶揄(やゆ)されていた本田。噂を聞きつけたG大阪関係者が耳を疑う。本田と同期でG大阪ユースに昇格した與(あたえ)貴行(現G大阪ジュニアユースコーチ)もそのひとりだった。
「正直に言うと、本田がユースに昇格できなかった後、どこでサッカーをやっているのか、ほとんどの仲間が知らなかった。本人も自分の進路を周囲に話していなかったので。その本田が星稜の中心選手になり、全国大会に出てくるなんて思いもしませんでした。驚きました」
指導者も目を疑った。
本田が高校2年で石川県選抜に選ばれ、埼玉国体に出場した。視察に訪れていたG大阪の育成普及部長(現取締役アカデミー本部・強化本部担当)の上野山信行の目に、見覚えのある選手の姿が飛び込んできた。しかし、いくら目を凝らしても脳裏に残る「圭佑」と「星稜の本田」は重ならなかった。