原委員長の“ダメ出し”はザック監督にどこまで届いたのか?

公開日: 更新日:

 原委員長の性格からして、高圧的に直言するタイプではない。全権は監督にあることを十分に理解し、あくまで個人的な見解にとどめたはずだ。

 それでもパワープレーに言及せざるを得なかったところにザック・ジャパンのジレンマが見て取れる。ザッケローニ監督は、W杯メンバー23人の発表前の4月に代表候補合宿を行った際、ヘディングの強い豊田や川又を試したが、最終的にメンバーに加えなかった。

 代わりに入ったのが大久保や斎藤らドリブラーだった。最終メンバーから、指揮官のメッセージが感じられた。あくまで“地上戦”で世界と戦う決意が感じられた。

 ところが、2試合とも終盤にCB吉田にパワープレーを指示した。非常に違和感を覚えた。吉田というのは、たとえば同じCBでも闘莉王(名古屋CB)のように得点感覚のある選手ではない。あまりにも付け焼き刃的な起用だ。W杯のプレッシャーから「乱心した」としか思えない言動に、原委員長も不安を覚えたことだろう。

「4年間かけて築き上げてきたスタイルを貫くように」
「それで結果が出なかったら、それはそれでしょうがないでしょ」

 原委員長は、ザッケローニ監督にこう伝えたことだろう。その光景が目に浮かんでならない。

文・六川亨(元週刊サッカーダイジェスト編集長)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動