釜本邦茂氏「足りなかったのは、アイデアではなく勇気」
W杯のギリシャ戦は「勝ち点3を積み上げる」ことが必要だった。そのために何をすべきだったか?
勇気を持ち、リスクを背負いながらゴールを目指す。美しいゴールじゃなくてもいい。肩や背中でもいい。当たり損ないでもいい。何が何でも相手ゴールにボールを押し込んでやる……そういう気持ちが、日本選手から感じられなかった。何よりも「勇気」が伝わってこなかった。
相手エースFWが前半35分に負傷してベンチ送りとなり、3分後にはアンカー役のMFが2枚目の警告で退場になった。数的不利になったギリシャは、なりふり構わずに自陣をガッチリ守ってきた。不用意に縦パスを入れてカットされ、ギリシャ得意のカウンターで逆襲を食らうことは避けたい。しかし、背が高くてフィジカルの強いギリシャ相手にサイドからクロスを送っても、簡単にハネ返されてしまう。
ここで「勇気」が欲しかった。カウンターのリスクを覚悟の上で前線の選手にボールをスパッと当て、そこから局面を打開してシュートに持ち込んで欲しかった。
しかし、ギリシャ戦の90分間を通して、日本選手が積極果敢に縦パスを送った場面は、ほんの数回しかなかった。とても残念でならない。