野口みずき“育ての親” マラソン「ナショナルチーム」に疑問符
日本陸連は4月1日にリオ、東京五輪に向けたマラソン強化の一環として「ナショナルチーム」を編成した。代表選手とそのコーチが集まり、合同合宿を行ったり、トレーニング法などを共有することで全体の底上げを図るというものだが、アテネ五輪金メダルの野口みづきを育てた藤田信之氏は、そのあり方に疑問を呈している。
――昨年の大阪国際女子ではペースメーカーを置くのを禁止するなど、陸連は改革に重い腰を上げ始めました。
「ペースメーカーは不要です。記録を狙うためには、普段の練習の中でペースは覚えるものです。野口はつけたがらなかったし、むしろ嫌がっていました。世界選手権や五輪で戦う相手になるのは、多くても10~20人。その選手たちがどんな練習をしているのか、どんなレース展開をするかは情報収集するべきです」
――4月にナショナルチームが発足しましたが。
「ナショナルチームといっても、実業団に所属するコーチが他の所属の選手を指導するのは難しい。実業団チームの色が付いたままの指導者と選手ではなく、例えば、五輪までは両者を所属先から出向させてナショナルチームを組み、指導できる体制にしないと難しい。実業団から派遣されたままのコーチなら、自分の選手を強くしたいと思うのが道理です。単に数回の合同練習だけで本当に強くできるのかなと思いますね」