日本一でも“ニンジン”なしのソフトB ヤル気の源は「分配金」
球団が出してくれないならNPBからもらえばいい――。そう言わんばかりに日本シリーズに向けて意気込んでいるのがソフトバンクナインだ。というのも、実は日本一になっても球団の「大盤振る舞い」は期待できない。あるOBが言う。
「ソフトバンクは10年オフから査定システムを変更した。過去の実績より、その年の成績を重視するというものです。しかし、これはあくまでシーズン中の成績のみ。ポストシーズンでいくら活躍しようと、査定には関係ないらしい。それに日本シリーズで勝っても球団からボーナスなどは出ないといいます。つまり、日本一でもCS敗退でも、球団が出すカネは同じなんです」
ポストシーズンの成績を査定に含めない球団はソフトバンクに限らない。が、その場合は活躍に応じた報酬やチーム全体への褒賞金など、一時金が出るのが恒例。どちらもナシというのは珍しい。過去には川崎(現ブルージェイズ)がソフトバンクに在籍していた当時、「CSや日本シリーズも査定に入れるか、一時金を出して欲しい。選手のやる気が違う」と訴えたこともあった。
そんな鷹ナインが「ならばせめて」と目の色を変えているのが日本シリーズの分配金だ。日本シリーズはNPB主催のため、チケット収入はいったんNPBにおさめられた後、経費等を差し引いた額の28%が両チームに分配される。うち、勝利チームがもらえるのは16.8%。11年日本シリーズを制したソフトバンクは選手1人あたり約311万円の分配金があった。
辞めていく秋山監督への思いもあるだろうが、最後に選手を動かすのはニンジンなのだ。