東京五輪「野球・ソフト復活」で日本のメダルが激減する理由
■水泳やレスリングで階級が減らさせる可能性が
野球の復活ムードに顔をしかめているのは空手やスカッシュだけではない。復活が実現すれば割を食う競技が出てくるからだ。
IOCの改革案は、種目数は310、大会の参加選手数は1万500人が上限とした。北京五輪の「野球・ソフト」の参加者を見ると、それぞれ8カ国で総勢300人以上。前回のロンドンの参加者は1万931人、16年リオは1万500人を超えるといわれている。「野球・ソフト」の300人を加える余地はない。必然的に他の競技で人数調整が求められる。
そうなると、狙われるのは種目や階級の多い競技だろう。筆頭に挙げられているのが競泳だ。
ある競技団体の幹部がこう言う。
「日本の競泳陣はロンドン五輪で計11個のメダルラッシュに沸いたが、競泳は自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ、メドレーで男女各17種目。リレーを含めれば自由形だけで7種目もある。欧州ではオランダやフランスも強いが、競泳は米国の独壇場(ロンドンは金16、銀8、銅6)です。そこで思い出すのが卓球です。卓球も五輪のメダルは男女とも中国がいつも独占している。国際卓球連盟は普及面から危機感を持ち、ロンドン五輪からシングルスの代表を各国2人に減らした。事情は異なるものの、米国1強の競泳は以前から種目が多すぎるという声があった。自由形で2つ、メドレーやリレーで1つぐらい種目が削られるかもしれませんね」