勝ち星伸びない可能性が…故障明けのマー君に「90球の壁」
来季序盤はストレスのたまるマウンドが続きそうだ。右肘靭帯の部分断裂からの完全復活を目指すヤンキース・田中将大(26)が開幕から球数を制限されるからだ。
来季の田中を先発陣の軸と期待するジラルディ監督は「32試合に先発してくれると計算している」と断言。メジャーで30試合以上に先発するのはエースの条件のひとつで、今季32試合以上をクリアしたア・リーグの投手はインディアンスのサイ・ヤング賞右腕クルーバー、今季同僚だった黒田ら20人。いずれも各球団のエース級だ。来季は中4日のローテーション通りの働きを求められるものの、シーズン当初はブレーキをかけられる。
メジャーではPRP(多血小板血しょう)療法を受けた投手が復帰した際、球数を制限されるのが一般的。急激な負荷による患部の再発を防ぐためだ。最近の例では10年に治療して11年に8勝(10敗)を挙げたヤンキースの右腕コロン(現メッツ)はシーズン当初、70~80球程度で降板。シーズンを通しても1試合当たりの球数の平均は97球と100球に満たなかった。13年に復帰したドジャースの右腕グリンキーは開幕から約2カ月は80~90球でマウンドを降り、100球以上を投げたのは6月に入ってからだった。この年のグリンキーは尻上がりに調子を上げ、15勝(4敗)をマーク。患部の不安が解消され、1試合平均100.5球だった。
80~90球で降板を命じられれば、味方打線との兼ね合いもあり勝敗のつかないケースが増える可能性もある。来季の田中は少ない球数で長いイニングを投げるしかない。