グリエルにも破格条件 球界「対キューバ“土下座外交”」の価値
■東京五輪の「野球復活」に水を差す
しかも、この日本によるキューバへの熱心な選手獲得が、ひいては20年の東京五輪での野球、ソフトボール復活に水を差しかねないという。米国事情に詳しいアメリカ野球愛好会副代表の鈴村裕輔氏がこう言う。
「トンビに油揚げではないですが、キューバの亡命選手を積極的に獲得しているMLBにとって、日本がキューバに大金を投じる行為は好ましいはずがない。五輪競技は国とは独立したUSOC(米五輪委員会)が担っているとはいえ、実際に選手を派遣するMLBは国家権力と決して遠い関係ではない。米国とキューバは国交がなく、いくらスポーツといえども、日本がいわゆる“敵対国家”へ巨額投資することに時の権力が嫌悪感を示す可能性もある。そうなると、これを大義名分としてMLBは東京五輪に選手を派遣しないという決断を下してもおかしくない。プロの選手の参加は、メジャークラスはもちろん、1A、2Aクラスでも実現しないかもしれません」
12日、全日本野球協会の鈴木副会長が、熊崎コミッショナーと五輪での野球、ソフトボールの復活に向けた協議を行い、プロアマで協力体制を敷くことなどで意見が一致した。ただ、復活が認められても、「あくまで開催国を盛り上げるための演出で、公開競技どまりだろう」(関係者)との見方もある。日本が悲願を達成しても、野球大国のアメリカが非協力的な態度を取れば、盛り上がりに欠けるのは当然だ。