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小倉清一郎元横浜高校野球部部長

1944年(昭19)6月16日、神奈川県横浜市生まれの71歳。横浜―東農大を経て三菱自動車川崎―河合楽器で捕手として活躍。現役引退後、東海大一(現東海大翔洋)―横浜―横浜商―横浜で監督、部長を歴任。松坂、成瀬、涌井、筒香ら多くのプロ野球選手を育てた。98年の春夏連覇を含め、3度の甲子園優勝。渡辺前監督を支える名伯楽として主に技術面を指導した。対戦校の投手陣や打線の戦術分析に定評があり、名参謀と呼ばれた。14年夏限りで横浜のコーチを退任。現在は山梨学院や熊本・城北など、全国の各校で臨時コーチを務める。

横浜高野球部を支える 渡辺監督「裏」の顔

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 ボール代だけでも1年で100万円ほどかかる。甲子園に出場すると、プロ野球選手になったOBが寄付をしてくれるため、「とにかくボールを頼む」と依頼した。グラウンドの芝生の維持にも100万円。年末になると私は部員と一緒にバックスクリーンなどのペンキ塗りをやった。もちろん経費削減のためだ。60万円では、普通にやっていたら大赤字になってしまう。

 渡辺は長年、野球部を支えるために金策に奔走していた。夕方、私に「絶対に殴るなよ」と言い残して練習を早退すると、横浜の企業の社長などが集う「横浜友達会」の会合に頻繁に顔を出した。財界人との人脈を築き、金銭面から野球部を応援してもらうためだ。

 長く援助してくれた横高野球部OBで1期生の高僧とも深く付き合った。有力OBで大先輩でもある。誘いには二つ返事で応じ、朝まで酌を交わすこともたびたびあったようだ。翌日は授業も練習もあるというのに、身を粉にして人と付き合った。

 選手寮の食事を仕入れる横浜の市場も、渡辺との関係で通常より何万円も安くしてくれている。野球部後援会長との付き合いも深い。

 酒席が苦手な私には絶対にできない。いつも頭が下がる思いで渡辺を見ていた。彼が人格者といわれるのは、こういう“裏の顔”にあると思う。

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