「松坂はさらし者」 ソフトB佐藤コーチの指導に権藤博氏怒り
【連載「権藤博の流儀」第22回】
松坂大輔の心中はいかばかりか。私だったら、ふざけるな! と頭にくる。
コーチの仕事はまず、選手を「見る」ことだ。ジッと観察し、選手の長所、短所を理解する。併せて、投手でいえば、良い状態のときの投球フォームと悪い状態のときのフォームを把握する。そして、選手が何か壁や障害にぶち当たって困っているときに、そっと手を差し伸べる。コーチの本質は添え木であり、黒子。そのためにまず、選手を「見る」のだ。
あくまでシーズンに向けた準備段階の春季キャンプは、特にそうでなくてはいけない。選手がどういうオフを過ごし、どういう鍛錬を積んできたか、その状態を把握するのが先決で、教え魔のコーチが少なくない日本ですら、最近は新人選手にだっていきなり手取り足取りの指導をする監督、コーチは減ってきた。
それを、松坂がやられた。プロで16年のキャリアがあり、日本で108勝、メジャーで56勝を挙げている「平成の怪物」に、キャンプ5日目、実質初めてのブルペン入りという段階で何を教える必要があるのか。