「初球ストライク」に日米差 広島黒田の39球見た評論家指摘
「黒田に、ピッチングとはこうあるべきという理想型を見た」
こう話すのは、評論家の高橋善正氏。高橋氏は71年、東映(現日本ハム)で完全試合を達成。球数はわずか89球だった。
「投手の基本はストライクを投げること。初球からストライクを投げ、常に投手有利のカウントをつくって、どうやってボール球を振らせるかを考えたりするわけだが、今の日本の投手にはそのストライクを投げることにも汲々とする投手が少なくないですからね」
では、制球力が落ちた理由な何なのか。
「野村克也さん、森祇晶さんの台頭により、バッテリーは『捕手主導』になった。彼らが監督になってますますその傾向が強まった。打者の様子を見るために初球はボールから入るケースが少なくないが、これだと制球力がない投手は苦しんで四球になりやすい。投手もそれで打たれたら捕手のサインが悪いと考え、制球を磨こうという意識がそがれているようにも見える。また、投手がスピードを追い求める傾向が強いことも原因のひとつ。トレーニング技術が発達し、日ハムの大谷ら、160キロを投げる投手が出てきたことで、最近は速いボールを投げる投手がすごいとの価値観が強い。力勝負といえば聞こえはいいが、いくらスピードが速くてもストライクゾーンを外れれば勝てない。速い球を投げようとすれば、力が入ってコントロールがブレやすくなるのは当然だ」