元横浜打撃コーチ・高木由一氏が語る 長嶋監督を奈落の底に突き落とした「マシンガン打線」の秘密
「選手のモチベーションを上げ、打線の勢いを持続させるため。当然、あの日も巨人先発の桑田を打ち崩しているところだけを集めたビデオを見せましたよ。見終わった頃には、試合前だというのにもう、『ヨッシャー』とみながKOした気になっていました(笑い)」
一方、巨人は7月20日に自力優勝が消滅。オフには長嶋監督の解任騒動に発展する。
「松井、清原、高橋由に広沢克、石井浩郎ら4番を打てる打者が揃った当時の巨人打線は史上最強と言われたけど、正直、怖さはなかった。ゴルフに例えて『キャディーバッグにドライバーしか入っていない』と言われてましたよね。実際、巨人はリーグトップのシーズン148本塁打を放ったけど、総得点はリーグ3位タイの100本塁打だった横浜の642点に10点及ばなかった。足も使えた横浜打線の方がはるかに怖いし、凄いという自信があった。3点先行されてもなんとも思いませんでしたからね。横浜がチーム打率・294で当時の日本記録を打ち立てた翌99年、横浜スタジアムで長嶋監督から『おい高木! ウチはチーム打率・270を目指すよ』と声をかけられた。さすがのミスターでも『チーム打率・290』とは言えないんだなと思った。すべては選手の力によるものだけど、あの時の横浜は歴史に残るチームだったと自信を持って言えますよ」