異例の長期政権 なでしこ率いる佐々木監督の“手練手管”
ところが、調子を落としたので何試合かベンチ要員に格下げすると、選手はチームの女性コーチに「練習中にベタベタしてくる。セクハラオヤジだ」と訴え、監督は解雇された。
ただでさえ女子チームはややこしいといわれている中、佐々木監督はベテラン沢から若手選手まで巧みな手練手管でコントロールした。10年アジア大会、11年W杯、14年アジア杯を制し、12年のロンドン五輪では、初のメダルとなる銀メダルを獲得した。
「昔から女子チームの監督は、命令口調で口答えを許さず、軍隊方式で威圧しながらトレーニングを課すタイプが圧倒的でしたが、佐々木監督は真逆のやり方を選んだ。上から目線ではなくて“下から目線”で選手と向き合った。あくまでプレーするのは選手。その選手たちが気持ち良くプレーできるのなら、ピエロ役も厭わずと考えたのです」(サッカージャーナリスト)
■選手は「ノリオ!」と呼び捨て
コーチから監督に昇格した後も、練習中に選手から尻に蹴りを入れられたり、じゃれ合いながらヘッドロックを掛けられることもあった。選手は佐々木監督と呼ばずに「ノリオちゃん」「ノリちゃん」と声を掛け、一部代表常連選手は「ノリオ!」と呼び捨て。それでも、ニコニコと笑みを絶やさずに対応する。