「白鵬に『日本の父は大鵬さん』と言われちゃったら師匠は寂しいよ
「横綱は若い衆の見本。何やっても若い人たちは真似する。一番上にいる強い人だからね。今、相撲が荒れているけど、上の人が変わらないとなかなか変わらないよ。
横綱は、前に出て押せないとダメなんだ。そう思ってるのは私だけじゃない。場所ごとに、白鵬の寄り切りは何番ぐらいあると思う? 横に動いたり、はたいたりが多いじゃない。それが彼の相撲だけど、横綱の相撲としては、見たくない。
中身の濃い、力強い相撲を取って欲しいよ。前に出て、相手をやっつければいいんだよ。私は相撲が本当に好きだから、そういう取組を毎日見たい。優勝回数が、ただの数字になってるよ。
師匠が言わないといけない。相撲の世界は、何やっても最後は師匠の一言なんだ。
横綱は今、一番強い人。だから周りの人は付いてくる。俺が言いたいのは、辞めたあとも人が付いてきてくれるか? ということ。人間性が良くなければ、たぶん、付いてこないよ。分かりやすい世界だよ」
武蔵川親方は稽古場の床を指さし、「ここは、深いよ。ただ相撲して、裸でゴロゴロしているだけじゃないんだよ」と言って笑う。明日から、彼の部屋のこと、最近の弟子事情を聞く。(つづく)