「高校生らしくない」と苦情電話が殺到し、学校の回線がパンクした
振り返れば、小学生の頃から「クセ者」の資質があったのかもしれません。6年時には「4番・ピッチャー」として、大阪でもそれなりに名の通る存在になれましたが、自分が活躍するより、チームの勝利の方が何倍もうれしかった。勝つためにどうするか、何ができるか。当時から日常的に相手の隙を突くことを考えていました。
投手としては、空振り三振より、打者の裏をかく見逃し三振を奪ったときの快感が強かったし、打席でダラダラしている相手には、すぐにプレートを踏んで構える前に投げたりもしました。
走者として塁に出ればホームベースをふさいで立つ捕手に対しては、遠慮なくスライディングをしてはじき飛ばす。ベースの前に立っている方が悪いんだ、とルールブックを見て勉強し、誰に教わるでもなくそういうプレーをしていたのです。
上宮高校時代もそうでした。僕はプロの公式戦で2度の隠し球を成功させていますが、実は高校2年春の甲子園でもやっています。
3回戦の高知商戦でした。大会ナンバーワン右腕と言われた相手エースの岡幸俊さん(元ヤクルト)を相手に上宮は苦戦。八回に2-3と逆転を許し、なおも1死二、三塁のピンチです。勝ち越しのタイムリー二塁打を打った打者も相手ベンチも大興奮。遊撃の位置からそれを見ていて、チャンスだと思いました。