小国躍進も質低下が懸念 ユーロ拡大路線に現地記者が賛否
欧州選手権(ユーロ)はベスト4が出揃い、ポルトガル―ウェールズ戦(日本時間7日午前4時開始)、ドイツ―フランス戦(同8日午前4時開始)の準決勝に注目が集まっている。今大会は初出場ウェールズの躍進を筆頭にアイスランド、ハンガリーなどサッカー小国の快進撃が光った。その背景にあるのが、16から24への出場国拡大だ。その是非は、プラティニ前欧州サッカー連盟会長が08年に決定を下した時から問われ続け、現地取材陣の間でも賛否両論が渦巻いている――。
「過去のユーロで見たことのなかったアイスランド、ウェールズ、アルバニアといった国が大健闘したのも、24カ国出場になってチャンスが広がったから。本大会に参戦できる喜びは、フランスに大挙して訪れたサポーターからも感じられた。1次リーグの勝ち上がり国も最後まで分からず、スリリングさの感じられたラウンド16新設は、とても良いアイデアだったと思います」と前向きに語るのはフランス「シュドゥ・ウエスト(南西)紙」のパトリック・ファビエール記者だ。
フランスに準々決勝で敗れたアイスランドはその象徴だろう。彼らは前半で4点差をつけられながら闘争心を失わず、観客も一体感ある応援を繰り広げた。総人口33万の国がフランスで示したものこそ、出場枠拡大の最大の成果である。その半面、拡大路線には慎重論も根強い。BBCのウェブサイトなどに執筆する英国人記者アンディ・ブラッセルがこう言う。