小国躍進も質低下が懸念 ユーロ拡大路線に現地記者が賛否
「結果的には欧州連盟の決断が大成功した形になっているが、出場国は24がリミット。枠を広げることは小国、中堅国の意欲を高めるプラス面がある一方、試合の質の低下や大会全体のレベルダウンにつながりかねないという懸念材料もある。これ以上の拡大路線は慎重になるべきだと考えます」
彼の意見をフランス・リヨンに本拠を置く「Le Progyes(レ・プログレス)紙のアントアナ・オサンナ記者が補完する。
「正直に言って16カ国の方が拮抗した試合が多かった。新興国が結果を残したのは事実だが、ボール支配率やシュート数で開きがある試合も少なくなかった。W杯も32カ国開催になってから退屈なゲームが増えた。私自身は、16カ国開催に戻した方がいいと考えます」
確かに内容面の分析は重要だ。シュート数やパス本数など数字が互角に近いゲームが多いほど見る側の満足感も高い。こうした意見に耳を傾けることも肝要である。
総論としては、小国の奮闘が多くの人々に夢と希望を与え、大会に新たな趣が加わり、サッカー普及にもつながった。この前向きな要素を見逃す手はない。否定的意見を封印するためにも、ウェールズが大物選手クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガル相手にどんな戦いを見せるのか、まずは注視したいと思う。
(取材・構成=サッカージャーナリスト・元川悦子)