3大関を連破 遠藤は“人気だけ力士”の汚名を返上できるか
「人気だけは横綱級」と揶揄されたのも過去の話だ。
寒風吹きすさぶ11月場所で、平幕遠藤(26)の勢いが止まらない。照ノ富士、稀勢の里と大関を立て続けに撃破すると、16日の4日目も琴奨菊を秒殺。初日こそ高安に土をつけられたものの、3勝はすべて大関戦の“銀星”である。
遠藤は近年の相撲ブームの火付け役。13年にザンバラ髪で幕内デビューするや、普段、相撲を見ない若い女性層が「お相撲さんにもイケメンがいる!」と熱狂し、相撲女子、略して「スー女」なる言葉も生まれた。相撲協会もブームに乗っかり遠藤が女性ファンをお姫さま抱っこしているように撮影できるパネルを作成。今もなお国技館の正面に飾られている。
が、肝心の遠藤自身は鳴かず飛ばず。昨年は左ヒザの半月板と前十字靱帯を損傷。このまま引退まっしぐらかと思われていたが、今年は3、5月場所で11勝4敗と盛り返し、先場所も13勝2敗の大健闘だった。
「ケガの功名でしょう。遠藤は重傷を負った左ヒザにメスを入れず、周囲の筋肉を強化してカバーする方法を選択した。遠藤はかねて『技術は大関級でも、パワーは十両並み』といわれ、中でも立ち合いの圧力の弱さは致命的だった。それがケガの治療も兼ねたトレーニングを積み重ねたことで、じわじわと効果が出ているのではないか。現在は痛みも大分治まったそうで、稽古量も増やしている。ケガの再発にさえ気をつければ、上位も狙えます」(相撲記者)
かつては、親方衆から「顔だけの力士。三役も無理」と酷評された遠藤。彼らをギャフンと言わせることができるか。