処分明けたシャラポワの“特別扱い”はそんなにおかしいか
■世界ランク262位
非難の嵐、久々の実戦にもかかわらずシャラポワはベスト4に入り、ここで問題が再燃した。世界ランク262位まで戻し、これが微妙。全仏オープンはこの週に締め切り、昨年の予選カットラインは212位だったから本来なら出場は難しい。選手たちは、全仏までが予選あるいは本戦のWCを提供するのではないかと目をとがらせるのだ。
メルドニウムは15年まで禁止リストに入っていなかったなど、シャラポワ側にも言い分はある。それはともかく、みそぎは済んだから、非難の矛先は大会主催者で、その大会側にも言いたいことは山ほどある。
女子ツアー(WTA)は1970年、ビリー・ジーン・キングらの有名な「1ドル契約」で旗揚げした。昨年の賞金総額は1億3700万ドル(約152億8000万円)だ。男子ツアーの1億1913万8646ドルより多いが、では、知っている女子選手を挙げろと言われて誰の名前が出るか。シャラポワを除けばセリーナ・ウィリアムズくらいで、そのセレナは妊娠で長期休養を宣言……。
スポンサーなしにプロツアーは成り立たない。そのためにもWCの枠は用意されている。シャラポワ前のアンナ・クルニコワという美貌の少女にはどこからでもWCが舞い込んだし、シャラポワの人気、実力なしに現在のリッチな状況は生まれなかった。ベテランのトーナメントディレクターは「私なら、スポンサーが反対してもシャラポワを取りにいく」と話す。誰が客を呼べるのか。
ドーピングは重大問題だが、それを忘れたら閑古鳥が鳴く。全仏への出場可否は5月16日に出る。