原辰徳氏“野球の伝道師”宣言に隠されたDeNA監督への野望
が、巨人内にはアレルギーも強い。計12年の原政権でリーグ制覇7回、日本一3回。優勝を重ねるたびに発言力が増し、組閣も補強も意のままにしようとする指揮官は、球団との軋轢を生んだ。
原監督は在任時、12年間で12人のFA選手を取っている。「なんでも欲しがる」と揶揄された長嶋監督(現終身名誉監督)ですら、9年間でFA補強は7人。若手育成にかじを切った時期もあるものの、それはむしろ当時の球団幹部の方針で、原監督自身は常に補強に前がかりだった。若手育成を怠ったツケを今、由伸監督と球団が払わされている、と強い口調で吐き捨てる関係者が巨人に多くいるのも事実である。
■父・貢氏の遺言
14年に亡くなった原前監督の父・貢氏は生前、「辰徳は巨人の監督としては十分な実績をつくった。野球人として彼にやり残したことがあるとすれば、弱いチームを強くすること。戦力に恵まれない球団を優勝させる。そういうことに挑戦して欲しい」と口癖のように言っていたという。貢氏を、「最も影響を受けた野球人」と言ってはばからない原前監督にとって父の言葉は重い。だから球界では、神奈川で育った原前監督の地元球団でもある、「DeNA監督就任説」が消えない。