五輪へ“風通し”重視…競泳代表は女子レスリングが反面教師
「悩み事があれば、所属に関係なく、誰にでも相談できる風通しのいい雰囲気をつくっていきたい」――。
競泳日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(HC=54)が、20年東京五輪に向けたチームづくりについて、こう明かした。
9日、今年8月のパンパシフィック(パンパシ)選手権(東京)、アジア大会(ジャカルタ)の日本代表を発表。先の日本選手権で100メートル自由形など4種目で日本記録を更新して優勝した池江璃花子(17)らが代表メンバーに名を連ねた。
パンパシは東京辰巳国際水泳場で行われる。日本のお家芸としてメダル量産を期待される20年東京五輪に向けた予行演習にもなる。平井HCは代表チーム入りの可能性のあるコーチには極力、パンパシ、アジア大会に帯同させる方針だ。
その狙いについて同コーチは「チームジャパンのスタッフとして所属の垣根を越えて連携を深めるため」と説明したが、これは女子レスリングを反面教師にしているのだろう。
五輪4連覇の伊調馨へのパワハラ行為で日本協会強化本部長を辞任した栄和人氏(57)は代表選考で自身が監督を務める至学館大学の教え子を優先。代表のコーチ陣もイエスマンで固めてきた。女子レスリングでは所属間の交流、情報交換などはほとんど行われず、閉鎖的な体質となり、それが陰湿なパワハラが横行する結果にもなった。
競泳代表ではかねて所属、担当にとらわれない指導が行われてきた。これまで弱点種目とされた女子背泳ぎで今回、小西杏奈(21)、酒井夏海(16)の2人が代表入りしたのも、その成果だという。
レスリングは同じお家芸の競泳から学ぶことが多そうだ。