ノーマークDeNA京山の活躍で関西担当が背中を丸めてた
能力があるのになぜ、ウチは評価しなかったのかと、オレたち担当スカウトが上層部から強烈な皮肉を浴びせられることになる。
それでいてウチが上位指名しながら鳴かず飛ばずの選手に関しては、会議で俎上に載せることすらしない。例えば、パソコンおたくのエラいさんが自信満々で獲得したスラッガーなんてヒドいものさ。甲子園で残した数字は秀逸、出塁率や長打率はバツグンだったものの、2年たっても3年たっても体力不足。おまけに練習嫌いときてるから絶望的だ。それでも、最終的に決断して獲得にゴーサインを出したのは上層部だから、会議で話題にしようものなら自分たちに責任が降りかかる。それを避けているとしか思えないんだ。
「選手を結果や数字だけで判断するな。いいと思った選手がいれば、マメに足を運んで野球への取り組み方や性格までチェックしろ。試合前のウオーミングアップやベンチ内での様子などに必ずヒントはあるはずだ」
部長はこう言って日頃からオレたちにハッパをかけてるけど、会議でつるし上げられるのはコリゴリだからね。
案の定、関西地区担当は、「担当地区でめぼしい選手がいれば、とりあえず評価しておくのが無難かもな。その選手が万が一、他球団で活躍したとしても、自分は評価してたと言えるからね」なんて、早くも言い訳を考えてたよ。