慶大から阪神入り 伊藤隼につきまとう“忖度ドラ1”の雑音
「何が何でも走者をかえそうと思って打席に入りました」
今季、甲子園初戦の阪神。2点ビハインドで迎えた六回、勝ち越しの適時内野安打を放った伊藤隼太(28)がこう言った。
慶大から11年のドラフト1位で入団。他球団の編成担当には「六大学で結果を残したので育成というわけにはいかないが、うちではその程度の評価。せいぜい4位か5位指名」と言われていた選手だ。
ところが、当時の球団社長が慶大OBだったことから1位で指名。案の定、競合球団はなく、すんなり阪神入りが決まったのだが、「1位は高橋周平(東海大甲府高=中日)で行きましょう。伊藤は外れ1位でも取れます」と言ったベテランスカウトは後日クビになった。
入団後はやはり外野のレギュラーにはなれず、最多出場は昨季の73試合。過去6年間の通算成績は269試合、打率・238、9本塁打、46打点とパッとしない。それでも昨年は代打起用でプロ入り初のサヨナラ安打を放ち、今季も代打の切り札となっている。「忖度による1位指名」との雑音は、自らのバットで吹き飛ばすしかない。