劇的逆転で突破も…アルゼンチンが露呈した決勝Tへの不安
後半35分には、DFロホ(28=マンチェスターU)がクリアの際、左手にボールが当たったとしてVARの介入があったが、判定は覆らずにゴールキックで試合再開。ピンチを免れたアルゼンチンに41分、劇的な決勝ゴールが転がり込んだ。
右サイドからのクロスに反応し、相手ペナルティーエリア内に走り込んだのはハンド疑惑で味方の選手、ベンチ、サポーターの肝を冷やしたDFロホだ。まるでアタッカーのような身のこなしで右足インサイドを完璧インパクト。これがゴール右隅にズドンと決まり、アルゼンチンはD組2位として1次リーグ突破の権利を得た。
残り時間は4分+アディショナルタイム4分。逃げ切り態勢に入ったアルゼンチンは、メッシが遅延行為でイエローカードを受けるなどなりふり構わず守り抜き、劇的勝利で決勝T進出を決めた。前出の鈴木氏がこう言う。
「前半のアルゼンチンは強かったが、同点に追いつかれると弱いチームに変貌した。それでも土壇場で勝ち切る勝負強さも見せた。チームには強さと弱さが同居。それぞれが時間帯、局面によって顔をのぞかせる。このことが、不安定な戦いぶりにつながっている。メッシも心身ともにベストとは言い難く、この日のようなスーパーゴールを毎試合期待できないし、他のアタッカー陣とのコンビネーションにも、ほころびが見える。どこまで勝ち進めるか? と聞かれたら<残念ながら好材料は少ない>と答えます」
■C組1位フランスと対戦
アルゼンチンは決勝T1回戦でC組1位のフランスと対戦する。試合後のメッシは「アルゼンチンにいるすべての人に感謝。僕たちは勝利を信じていた」とコメントしたが、アルゼンチンの前途は茨の道――。