著者のコラム一覧
田崎健太ノンフィクション作家

1968年、京都市生まれ。ノンフィクション作家。早大卒業後、小学館入社。「週刊ポスト」編集部などを経て、99年末に退社。著書に「W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 」(新潮文庫)、「偶然完全 勝新太郎伝」(講談社+α文庫)、「真説・長州力 1951-2018」(集英社文庫)、「電通とFIFA」(光文社新書)、「真説・佐山サトル」(集英社インターナショナル)、「ドラガイ」(カンゼン)、「全身芸人」(太田出版)など多数。

ワールドカップは「経験の蓄積」がモノをいう世界なのだ

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■グループリーグ突破を繰り返せば

 何よりもフランスサッカーには98年のW杯優勝という大きな経験がある。それまでのフランスは、プラティニがいた86年大会のように、美しいサッカーにより優勝候補に挙げられることはあっても優勝に手が届かなかった。

 最近プラティニは98年大会で、決勝までブラジルと当たらないように組み合わせに「ちょっとした細工」をしたことを明かしている。現役引退した彼は大会組織委員長に就任していた。自国開催という“ドーピング”により、フランスは優勝という厚い壁を突き破ったのだ。デシャンはそのときの主将である。彼を含めたフランスというチームはW杯をよく知っていた。それがベルギーとの「1点」差につながった。

 今大会、日本代表はグループリーグ最終戦で、ポーランドと“談合”し、決勝トーナメントに進んだ。これはフランスが組み合わせを操作したようにサッカーの世界ではよくあることでもある(78年大会のアルゼンチン優勝もそうだった)。


 汚れた手であったとしても、指先で引っかかっていた崖をよじ登ったことは事実だ。そして、崖を登ると見える景色が変わるもの。今回のようにGリーグ突破という経験を積み重ねることが出来れば、中堅国への壁を破ることが出来る。

 しかし――。次には強豪国という、さらに高い壁が現れる。まだまだ頂は遠い。それがW杯なのだ。

【連載】南米サッカー 現在・過去・未来

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