山根会長“死んだふり”辞任 ボクシング界に根強い院政恐怖
だが、日本連盟と山根会長を告発した都道府県連盟幹部ら333人で構成される「日本ボクシングを再興する会」(鶴木良夫会長=新潟県ボクシング連盟理事長)は、これで騒動の終結とは考えていない。山根会長の辞任表明から2時間半後、都内で会見を開いた再興する会は、「辞任の中身がはっきりしない。会長を辞めても、理事にはとどまるのか、会員としては残って影響力を発揮するのか。辞任の位置づけがハッキリしない以上、お答えのしようがない」(鶴木会長)とむしろ警戒を強めている。再興する会の関係者がこう言った。
「連盟の理事になって27年、会長になって7年、定款にない『終身会長』の座に納まって築き上げた独裁体制は、相当に根深いものがある。連盟に籍を残すなら、院政を敷く可能性も捨て切れない。だから、あくまで除名を求めている。いずれにしても、あの会長がこのままおとなしく引き下がるとは思えない。国際ボクシング協会(AIBA)に残す影響力も無視はできません」
■「我々が黙っちゃいない」
“世界の山根”“カリスマ山根”を自称した山根会長は、94年から02年までの8年間、AIBAの常任理事を務めた。本人が「世界に顔が利く。世界で山根明の名前を知らない人間はいない」とうそぶいていたのもあながち大げさではない。今もAIBA幹部との強力なパイプを持ち、今年2月に国際オリンピック委員会のバッハ会長が20年東京五輪の実施競技からボクシングを除外する可能性を示唆すると、「我々が黙っちゃいない」「AIBAとはやりとりができる」と豪語していた。山根会長の抗議で、国際大会での判定が日本有利にひっくり返ったケースがあったのは、ボクシング関係者の間では有名だ。