大船渡“佐々木狂騒曲”大マスコミが報じないドロドロ舞台裏
「次に勝たないと、1回戦敗退と一緒」
35年ぶりの甲子園出場を懸け、25日に花巻東との大一番を迎える大船渡の佐々木朗希(3年)がこう意気込んだ。24日に行われた一関工との準決勝は9回2安打無失点、15奪三振の好投を見せた。地元のみならず全国の野球ファンが大注目する剛腕を主役とした「大船渡狂騒曲」にはメディアが報じない舞台裏がある。
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■4日で323球
「4点リードの展開でしたから、継投策を使うかと思ったのですが」
セ球団のスカウトが複雑な面持ちでこう言った。
佐々木は、4回戦の盛岡四戦で12回194球を投げ、中2日でこの日の準決勝を迎えた。前出のスカウトが続ける。
「投球練習中から明らかに体が重そうで、疲れが抜けきってなかった。大船渡は、チーム全員で戦う方針を掲げている。現に準々決勝は佐々木抜きで勝った。それが、中2日とはいえ、4日間で計323球を投げ、決勝を迎える。甲子園に行ってほしいと思う半面、投げすぎが先々に影響しないか、心配ではある」
国保監督は、佐々木を無理に起用することを避けてはいる。球速に強弱をつけて投げさせていることもその一環。準決勝の試合後は、「状況に応じて脱力して投げていた」と評価していた。
「確かに、今年は試合で連投することは少なかった。でも、ブルペンで100球を超える投球練習をするのはザラです。実際、岩手大会直前は3日連続でブルペン入りした直後に2日連続で練習試合に登板。計14イニング230球を投げました。投げ込みで鍛える方針ではありませんが、決して投げていないわけではありませんから」(前出のスカウト)
■解説もボヤいた「判官びいき」
「いいところにずっと投げているんですが……」
一関工との準決勝を生中継した地元テレビ局の解説者は、しきりに一関工の先発左腕・平野拓夢(3年)の投球について、こう言っていた。確かに、際どい球がボール判定になるケースは多かったようにも見えた。
「平野の表情には動揺の色が見えました。一方の佐々木は、初回先頭打者を見逃し三振に打ち取った直球は明らかにコースを外れていた。マウンドで思わず苦笑いを浮かべたほどです」(関係者)
大船渡の試合には早朝から大行列ができる。
「岩手高野連は対応に追われて四苦八苦していますが、スタンドは連日の超満員。4回戦の盛岡四戦は、岩手県営球場に1万2000人近くの観衆が駆け付けた。チケット代は大人500円、中・高校生200円。大人が8000人も入れば、400万円の売り上げ。1冊500円のパンフも7000部が完売し、それだけで350万円。地方予選で1000万円単位の売り上げが出るのは異例中の異例」
これまでの大船渡には見えない力も後押ししたのかもしれない。