CS争いでも忖度起用 プロ野球「引退試合」のバカバカしさ
「真剣勝負でお願いします」
指揮官があえて真剣勝負を頼んだのは、CSのかかった試合で忖度が働きかねないという疑念があったからに他ならない。
「メジャーでは公式戦の最中に引退試合を行うことは基本的にありません」と話すのは、大リーグに詳しい野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏だ。
「デビッド・オルティスやデレク・ジーターのようなレギュラークラスでなければ、公式戦やポストシーズンでユニホームを着ることはないでしょう。試合に出る以上は、あくまで戦力になることが前提なのです。オルティスやジーターはシーズン前に引退を表明し、1年間かけてファンに挨拶する形をとりましたが、それも実績と実力があればこそ。1年間まったく活躍しなかった選手が出ることはあり得ません。メジャーの場合、公式戦前後や翌年のオープン戦、ファン感謝デーで引退のセレモニーを行うのが主流です」
ワールドシリーズでMVPを獲得した松井秀喜でさえ、引退試合はなかった。引退から半年後にヤンキースと一日限定のマイナー契約を結び、セレモニーに出席。始球式でユニホームに袖を通し、現役生活に幕をおろした。