静観の姿勢とるも…対岸の火事では済まされない香港問題
また、中国外交部は否定しているものの、NBAのコミッショナーのアダム・シルバーが「中国側からモーリー氏の解任を求められた」と発言するなど、両者の関係は悪化の一途をたどっている。
シルバーは「先行きは不透明」と不安を表明しながらも、「モーリー氏の表現の自由を尊重する」として中国側への謝罪を拒否している。憲法修正第1条において信教・言論・出版・集会の自由を明記する米国の国民としては、当然の態度だろう。
これに対し、現在のところ大リーグでは香港問題に関連する目立った動きは認められない。
16年にオースティン・ブライス(マーリンズ)が香港生まれとしては最初の大リーグ選手となり、18年に域内最大のショッピングモールであるハーバーシティーに香港1号店となるMLBショップを出店したばかりの大リーグ側にとって、不用意な発言によって新たな商機を失うことだけは避けなければならない。
モーリー発言への中国側の猛反発を目の当たりにすれば、心中はどうであれ、表立って香港の示威運動を支持することは得策ではないと、静観の姿勢をとることは不思議ではないといえる。