欧州5大リーグでなぜドイツだけが再開に躍起 元コーチ解説
ドイツ発のニュースが物議を醸している。
ドイツ労働・社会省のベーニング副大臣が現地4月29日、無観客試合、選手の定期検査、厳格な衛生管理などが実施された場合、「労働者の健康面と安全面から許容できる」とコメント。3月中旬から中断しているドイツリーグの<5月9日再開>に実質的なゴーサインを出したからだ。
同じ欧州のフランスでは前日、同国プロリーグが「今季リーグを打ち切る」方針を発表。マクロン大統領が、欧州各国に対して「サッカーの公式戦の取りやめを望んでいる」と表明している。
この2カ国とイングランド、スペイン、イタリアは<欧州5大リーグ>と呼ばれ、選手のレベルも年俸も予算規模も群を抜いて高い。その中でドイツだけが再開しようとしているのはナゼか。
ドイツ1部でヘッドコーチ経験のある鈴木良平氏がこう解説する。
「ドイツサッカー連盟(DFB)は2010年にクラブライセンス制度を作り、1部と2部の計36クラブに対して徹底的な財務調査を実施。赤字を出したクラブはペナルティーとして下部リーグに降格させられる。リーグの中断で各クラブは有料テレビの放映権料と入場料収入が途絶えてしまい、5月中に再開されなかった場合は<1部4クラブと2部9クラブ>が破産するという報道もあった。ドイツは生真面目な国民性もあり、5大リーグの中で厳格にペナルティーを科す。赤字クラブは例外なく降格させられる。DFBもコロナ禍による非常事態なので何とか中止を阻止したい。そのために無観客でも試合を行いたいのです」
ドイツの放映権料は年間1400億円。再開できない場合、中断した3月から閉幕する5月までの<3カ月分>の放映権料を取り損ねることになる。破産するクラブは計13クラブでは済まないかも知れない――。