まだ自宅待機中…有事こそ「普段からの人脈」がモノをいう
オレはどうやらエライさんたちに口が軽いと思われているようだし、現場ではかなりやかましい方だから、ひょっとして「現場に行くな」「しゃべるな」と球団からクギを刺されてるのはオレだけじゃないかって気をもんださ。慌てて同僚や他球団のスカウトに聞いたら同様のことを言われたみたいでホッとしたんだけど、アタマから離れないのは部長から言われた別のことだ。
■高校生右腕の4月の映像
「おまえさ、さっきから高校生は見なきゃ判断できないっていうけど、それはどの球団のスカウトも同じじゃねーか。自分の目が使えないのなら、他人の目を使えよ。他人の足を使えよ。どうやって手に入れたのかは知らねーが、オレのところにある高校生右腕の4月の映像を送ってきたヤツもいるぞ。知り合いの監督や部長やOBから情報を集めることはいくらでもできるだろう。こういうときだからこそ、普段からの人脈がモノをいうんじゃねーか」
言われてグーの音も出なかった。高校の監督や部長やOBが詳しいのは自分の学校の選手だけじゃない。同じ都道府県内のライバル校の主力選手の動向には、普段から目を光らせている。彼らの持っている情報は確度が高い。地区を勝ち上がるためには、正確な情報が不可欠だからだ。
オレはすぐに親しくしている担当地区の強豪校監督のスマホを鳴らしてみた。
(プロ野球覆面スカウト)