甲子園中止で代替大会はどうなる? 47都道府県高野連直撃
夏の甲子園大会と出場校を決める地方大会が中止になったことで、各都道府県は独自の大会の道を模索している。日本高野連は27日、大会実施要項を発表した。北海道から沖縄まで47都道府県の高野連を総直撃。特色のあるところをいくつか紹介する。
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■青森 八戸市vs弘前市は真ん中の青森市で開催
「7月14日から28日に予定されていた青森大会とほぼ同じ日程、同じ形で開催する方向で、すでに球場も押さえています」
高橋聡理事長がこう言った。
先週23日から県内校限定で対外試合が解禁された。すでに加盟校には「行う方向」と伝えているという高橋理事長は「ベンチに入り切れない部員と保護者だけはスタンドで観戦できるように、強く要望したいと思っています」と語気を強めたが、この点は各連盟の裁量に任されることが決まった。
昨年から採用している「地理面の考慮」が、そのままコロナ対策にもなるという。
「移動のリスクを減らすため、例えば八戸市と弘前市の高校が対戦する場合、だいたい真ん中の青森市の球場で行うとか、対戦校同士が近い場合は、最寄りの球場で試合ができるようにする。遠方の下北半島の学校が宿泊しないで済むよう、午後の試合にするなど、最大限の配慮をします。実は昨年の大会からやっていて、そのままコロナ対策にも当てはめることができます」(高橋理事長)
■茨城 経費1200万円
日本高野連と朝日新聞社が後援し、各都道府県連盟に総額で1億9000万円の財政支援が決定した。榎戸努専務理事はこう説明する。
「例年3500万~3600万円ほどかかります。どんなに切り詰めても1200万円はかかるため、無観客では厳しい。だから地区予選から県大会というようにして経費削減に努めます。予算は厳しくても、参加校から参加費は徴収しないつもり。日本高野連から補助があるならうれしいですね」
通常20人のベンチ入りメンバー枠を25人に増やすか、3年生全員がベンチ入りできるようにすることなどが検討されており、6月9日の理事会で話し合うという。
■愛知 チーム負担も検討中
「3年生に公式戦の機会をつくりたいと独自の大会を検討しています。大会参加費を徴収するなど、加盟チームに負担してもらうことも検討中です」(神田清理事長)
■鳥取 YouTubeでの試合配信も
「やる方向で考えているが、6月5日の理事会で正式決定する。知事や教育委員会からの熱心なバックアップがある。(平井伸治)知事らはYouTubeでの試合配信を検討しています」(田村嘉庸理事長)
■宮崎 3年生だけ全員ベンチ入り
児玉正剛理事長は「6月8日に理事会、15日に運営委員会があるため、まだ検討前だが、原案はあります」とこう明かした。
「無観客で運営協力金を各チームから徴収予定。1、2年が出る場合はこれまで通り、20人に制限しますが、3年生だけなら全員がベンチに入れるようにするなどです」
■沖縄 土日メインで開催
今月下旬まで県立高校は休校中で授業が滞っている。中村健理事長は「7月の上旬から開催予定のため、急いで詳細を決めていく必要があります。できるだけ平日を使わないようにして、土日メインで学業優先で開催します」とした。
■福岡 代替大会を断念…
25日、常任理事会で独自の大会を開催しないと発表した。断念は全国初だ。
県高野連によると、春季大会の中止以降、18リットル缶7つ分の消毒液の確保や感染防止マニュアル作成など、夏へ向けて準備を進めてきた。しかし、選手や指導者、関係者の安全確保に不安が大きく、休校措置で遅れている授業などに影響が出る恐れがあると判断した。
■「本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」
同県高野連の土田秀夫会長は日刊ゲンダイの取材に「途中では『こうしたら開催できるのでは』といった意見もあったが、3時間話し合った結果、満場一致で中止になりました。代替試合のもともとの趣旨は『3年生に最後の舞台を用意する』というもの。しかし、福岡県内ではリモート授業などで練習ができていない。あるいは試合ができない学校もある。そういうことを置き去りにして事を進めることはできない。新型コロナウイルスの特性上、これからの感染拡大が読めないところもある。開催する県が多いが、他県に左右されることなく、福岡県内の事情を考慮して決定した。球児は他県をうらやむと思う。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と苦しい胸の内を明かした。