全英予選落ちの渋野に評論家が苦言「発想を転換しないと」
首位発進のS・ポポフ(独・27)が68で回り、通算7アンダーでツアー初優勝。女子のドイツ人選手のメジャー優勝は初めて。
今年の舞台は、昨年の林間コースとはまるで違った。1年前に渋野日向子(21)が勝ったスコアは通算18アンダー。アンダーパーフィニッシュは50選手もいて、予選カットは3アンダーだった。今年は予選カットが9オーバーという厳しい展開。リンクスコースに打ちのめされた選手が多く、渋野も通算12オーバーとスコアを大きく崩して予選落ちした。
「リンクスは発想を変えないと戦えない」と評論家・三田村昌鳳氏がこう続ける。
「強風下で戦う技術を持っている、持っていない、という以前に弾道のイメージが求められる。転がしてグリーンに乗せてもいいといわれても、イメージが湧かなければ転がせない。風は目に見えないが、経験しているプロなら風をビジュアル化ができるので、グリーンとは全く違った方向を向いても、ためらいなくクラブを振り切ることができる。厳しい気象条件の中で、球筋のイメージを瞬時に出せなくてはリンクスで戦うことは難しい」
渋野は会場の強風について「台風のときくらい」と言った。国内大会は、台風なみの強い風が吹けばすぐに中止になる。
2日目のカットライン予想は午前中に5オーバーだったが、結局9オーバーまで下がった。4日間アンダーパーが4選手だけという、我慢を強いられる試合は国内には少ない。
「今の若手はバーディー合戦の試合で育っている。ボールが飛ぶし、国内ならピンをデッドに狙って、バーディーのイメージが先に来る。ボギーだと“打っちゃった”“取り戻さなくては”という気持ちになる。強風下のリンクスではパープレーに徹し、数少ないバーディーチャンスをモノにするのが鉄則。ボギーでもよしとすることも大事。パー4を『4』で上がるには、2オン2パット、3オン1パット、4打目を直接カップインという3つのルートがある。2オンしてバーディー逃しのパーしか頭にないと、ゴルフのイマジネーションも広がりません」(前出の三田村氏)
リンクス2戦連続予選落ちを糧に経験値を増やすことが、渋野の今後を左右することになる。