無警戒だったオーストラリアの強さに面食らって浮足立った
僕も中日時代のディンゴの打撃には、粗っぽい印象を持っていた。しかも、アテネ五輪当時は34歳。そんなベテランがマスクをかぶり、中軸を打っているのですから、強敵と思えなかったのは無理もありません。
ところが、いざ試合が始まると三回まで0―0。あれ? オーストラリアの投手って案外悪くないのか?と思い始めた四回、逆に先発の清水直行が5者連続安打を浴びるなど3点を失ってしまいました。
その後は点の取り合いになって、終盤に差し掛かった時点で4―6。オーストラリアの思わぬ強さに面食らって浮足立ち、何とか相手の攻撃をしのいで反撃を……という気持ちは空回りしました。八回、先頭打者の3番ディンゴがバット一閃。安藤優也から放った打球は、右翼スタンドに消えました。
■全勝の目標が早くも消滅
最後はジェフに抑えられ、終わってみれば4―9の惨敗。日本代表にとっては、まさかの黒星でした。「長嶋監督のためにも全勝」という目標のひとつが、予選リーグ4戦目にして早くも崩れてしまった。その衝撃の大きさで、僕らは精神的に追い込まれてしまったのかもしれません。