アテネ五輪予選で守りたかったプロの矜持と長嶋監督の経歴
日本野球がオールプロで臨んだ初めてのオリンピック、それが2004年アテネ五輪です。
僕が出場した最初で最後の五輪ですが、戦いは03年から始まっていました。この年のオフシーズンに行われたアジア野球選手権が、五輪の地区予選も兼ねていたからです。
まず予選リーグで中国、フィリピン、インドネシア、パキスタンが戦い、1位の中国が決勝リーグに駒を進めました。決勝リーグは日本、韓国、チャイニーズタイペイ(台湾)、中国。この4カ国の上位2チームがアテネ五輪出場という戦いでした。
■本番より緊張
結果だけを見れば、日本が全勝。韓国戦は2―0、台湾戦は9―0、そして中国戦は13―1と、スコアだけ見れば日本の完勝です。しかし、この地区予選はアテネ五輪本番よりも緊張しました。
メダルなしに終わったシドニー五輪の反省もあり、初めてメンバー全員プロ野球選手で臨んだ大会。投手は松坂大輔をはじめ、上原浩治、岩瀬仁紀、和田毅ら、野手も小笠原道大さん、宮本慎也さん、高橋由伸、松井稼頭央……と、全員の名前を書ききれないのが申し訳ないほど。そんなメンバーを率いるのが長嶋茂雄監督でした。