J優勝目前 川崎フロンターレ鬼木監督の手腕と強さの秘密
決してブレないフロントのチーム強化策
10連勝目のC大阪戦もそうだった。前半7分に先制されたが、前半で25歳MF脇坂、34歳MF家長のゴールで逆転。後半8分に32歳FW小林が3点目。同13分に失点したものの、その3分後に交代出場した東京五輪世代の23歳MF三笘が同30分に4点目。その2分後には交代出場したばかりの31歳FWレアンドロが5点目を叩き込んだ。同30分に<守備固め>として25歳MF守田を、最終盤には<逃げ切り態勢要員>として28歳DF車屋と20歳FW宮代をピッチに送り出した。ベテラン、中堅、若手、助っ人選手を絶妙に起用しながら、攻守にわたって強さと安定感を誇っている。
「川崎の強さには<一貫性>というキーワードも挙げられる」と元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏がこう続ける。
「まずはフロントのチーム強化策がブレない。前身の富士通サッカーOBの福家、庄司両氏が強化本部長として強化を進めていくに当たり、現JFA・ナショナルチームダイレクターの関塚氏(6年)、前名古屋監督の風間氏(5年)に長く政権を任せた。中長期的な視野に立った確固たる強化方針があればこそです。特に風間氏の場合、就任前は筑波大サッカー部の監督を務めており、プロの監督経験のない指導者を招く大胆さもあった。07年に川崎で現役を引退した鬼木現監督は育成・普及コーチを、10年からはトップのコーチを務め、17年に満を持して監督に就任して17年、18年のJ1を制した。そして今季の快進撃。素晴らしい偉業の達成です」
日本代表と五輪代表の森保一・兼任監督は、J広島時代の優勝3回が高評価された。同じ土俵に立った鬼木監督に対して「たとえば2021年東京五輪で五輪代表を率いて戦って欲しいという声が上がっても不思議ではない」と前出の六川氏。
Jの名伯楽の仲間入りを果たした鬼木監督にはさらに上のステージが待っているか。