新体操・竹中七海「五輪で金が夢」高2から年350日間の合宿
旅立つ新幹線で思わず涙
中学2年の冬にフェアリージャパンの練習生、高校1年でオリンピック強化指定選手と、着実にステップアップ。同年の秋に日本代表のメンバー入りを果たした。
フェアリージャパンの選手たちは1年のうち350日間は合宿生活だ。その半分はロシアで過ごすことになる。
「家族や友人と離れてしまう心細さがありました。普段は涙を見せない母の目が潤んでいたのが見えて……。旅立つ新幹線の中で、少し泣いてしまいました。それでも、寂しさに負けないくらいワクワクや期待の方が大きかったです。五輪で金メダルを取ることが幼い頃からの夢で、フェアリージャパンは憧れでしたから」(竹中)
それからは俗世を離れ、厳しい環境に身を置き、トレーニングを重ねている。練習時に必須であるロシア語は、時に辞書にかじり付きながら習得したという。現在は日本女子体育大に籍を置き、今春4年になった竹中は卒業へ向けてオンライン授業をこなし、単位履修にも精を出す。
「(フェアリージャパンでの生活は)全ての人が経験できることではなく、貴重な体験をさせていただいていると思います。だから、社会と離れることにあまり不安はありません。選手でいられる年齢まで思いっきり新体操を楽しみたいです。ですが……。少しだけ正直に言うと、普通に大学生として学校に通っていたらどんな感じだろうと。ドラマで見るような学生生活に憧れもあります(笑い)」(竹中)
東京五輪では日本チームならではの演技を披露したいという。
「日本チームは海外勢とのスタイルの差を、動作のしなやかさで、体を大きく見せることにより補っています。その中の一つ一つの動きの奇麗さ、繊細さに注目していただきたいです。そして、作品のうちの1種目は和音が入っていて、日本の“四季”を表現しています。これは季節の変化に親しんできた日本人の私たちだからこそ演じることができるものだと思います。ぜひ、楽しんで見てくれたらうれしいです」(竹中)
女子団体総合は2008年北京五輪こそ予選落ちだったが、12年ロンドン五輪は7位、16年リオ五輪で8位。そして、昨年9月にアゼルバイジャンで行われた世界選手権では44年ぶりの快挙となる銀メダルを獲得した。
飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続けるフェアリージャパン。その一翼を担い、自国開催となる来夏の大舞台で、日本勢史上初となる五輪メダルを獲得する。
▽たけなか・ななみ 1998年12月2日、愛知県豊田市生まれ。幼少期を同県南部の知多郡美浜町で過ごし小学3年から名古屋市へ移った。中高一貫の名古屋経済大市邨の高校1年時に日本代表入り。現在は日女体大の4年生。