元ソフト日本代表の高山樹里さん “女大魔神”は今何してる
東京五輪の追加競技として復活する女子ソフトボール。日本は2008年の北京五輪で金メダルを獲得しているが、その前、アトランタ、シドニー、アテネの3大会に連続出場し、シドニーで銀、アテネでは銅を獲得したエース投手といえば、この人。元プロ野球・佐々木主浩の「大魔神」になぞらえた「女大魔神」の異名で知られた高山樹里さん(43)だ。さて、今どうしてる?
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愛知県名古屋市中川区。待ち合わせたのは、国道1号沿いのアミューズメント施設・中川コロナワールドの北側にある空き地だった。
「今日は私が顧問をしている車椅子ソフトボールチーム『東海ユナイテッド・ドラゴンズ』の練習日なんです。キャッチボール、ベースランニング、ストップ&ゴーといった基礎トレーニングに、実戦形式でバッティングと守備練習をします」
車椅子ソフトボールは約50年前に米国で生まれて全米に普及。MLBのレッドソックスやカブスがサポートしているチームもある。
「ルールは野球やソフトボールと、ほぼ一緒。違いは、内外野を守れる野手が1人増えて10人制であること、使用ボールはソフトボールの12インチよりふた回りほど大きい16インチ。デッドボール、盗塁、パスボール、バッティングの際に立ち上がっての打撃はNGで、国内では健常者も加わって試合をするのが特徴です。出場選手は障害に応じて1点から3点までクラス分けがあり、合計21点以内で構成しなくてはなりません。年齢や性別、障害に関係なく楽しめるユニバーサルスポーツなんです」
日本では13年に一般社団法人・日本車椅子ソフトボール協会が発足。西武も15年からサポートをしており、現在、全国の19チームが加盟、高山さんが会長だ。昨年8月には、米国カンザスシティーで開催されたワールドシリーズで日本代表が初優勝の快挙を成し遂げた。
「我がチームも好調で、昨年7月の第7回全日本車椅子ソフトボール選手権大会、9月の第5回ライオンズカップ車椅子ソフトボール大会で優勝。来月14、15日に開催の第7回北九州車椅子ソフトボール大会で優勝すればグランドスラム達成です」
目指すのは28年・ロサンゼルスパラリンピックの正式競技入りだ。
さて、神奈川県横須賀市出身の高山さんは、小学1年生からソフトボール、水泳、柔道に打ち込むスポーツ万能女子。
「本格的にソフトボールを意識し始めたのは、埼玉栄高校に進学してから。当初は打撃を見込まれていたのですが、先輩投手がケガをしたため急きょ二刀流になりました」
同高で身につけたライズボール(バッターの手前でホップ)が功を奏して国体で優勝。日体大へ進学し、1年の時にアトランタ五輪(1996年)に出場。そして社会人・豊田自動織機に就職するや、日本代表のエースとしてシドニー五輪(00年)で銀メダル、アテネ五輪(04年)では銅メダル獲得に貢献した。
その後、09年からウインタースポーツに転向。ボブスレー、10年からスケルトンに専念したが五輪の壁は厚かった。
「そんな時に北海道の北翔大学で練習中に車椅子ソフトを知り、最初はお手伝いだけでしたが、どんどんこの競技の魅力にのめり込んだわけです」
車椅子ソフトとは別に、17年から五輪に出場した女性アスリートの団体、トータル・オリンピック・レディス会の会長も務めており日々多忙。プライベートでは2年前、会社員の男性と結婚した。