自民党から森会長“擁護論” さらなる批判噴出で火に油
女性蔑視発言をした東京五輪組織委員会・森会長への批判が止まらない。国内外から「森ヤメロ」の声が噴出している。自民党から「森擁護」が持ち上がり、さらなる批判を招いているありさまだ。
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「余人をもって代えがたい」――。こう言って森会長の続投を支持したのは、自民党・世耕弘成参院幹事長だ。「(問題は)ここで収めて、五輪開催に向けて準備に邁進することが重要」と擁護してみせた。7日の毎日新聞によると、森会長の元には、自民党・遠藤利明元五輪相から〈加藤勝信官房長官や小池百合子東京都知事が心配している〉と報告があり、たくさんの国会議員が「いま辞めてどうする」と激励しているという。
自民党挙げて“森続投”の流れをつくろうとしている状態なのだ。
4日の衆院予算委員会では、立憲民主党の菊田真紀子議員が「森発言」を追及。菅首相に森会長の更迭も要求していたが、自民党議員からの追及は、一切なし。自民党で、森会長批判をしているのは後藤田正純衆院議員や稲田朋美衆院議員、泉田裕彦衆院議員くらいのもの。常々、「女性の政治参加」を訴える野田聖子幹事長代行や、五輪大会を所管する橋本聖子五輪相もダンマリである。
さすがに自民党議員の「森擁護」や「無批判」には、ツイッターで批判が続出。世耕の「余人をもって代えがたい」発言に対しては、〈茶坊主らしい擁護〉〈こんなズレまくりな絶賛で擁護する自民党…というより、世耕という人間が心底、薄気味悪い〉といった批判の声が上がっている。
自民党関係者はこう言う。
「かつて、自民党の清和会を率いて首相まで経験した森会長の面倒見のよさは、永田町で有名です。多くの自民党議員が『森さんには世話になった』と思っている。要するに、森会長と『貸し借り』の関係が出来上がっているわけです。だから、“身内”である自民党議員の多くは、余計なことは言わないというわけです」
“サル山”のボスに何も言えず
しかし、森会長の発言には、駐日欧州連合代表部やドイツ、フィンランドの大使館などが“抗議ツイート”を連投。森を名指しこそしていないが、手を挙げる女性たちの写真に、「#男女平等」「#dontbesilent(黙ってはいけない)」とハッシュタグを付けてツイートしている。自民党の“森会長擁護”は、国際世論と大きくかけ離れてしまっている。
「今回の森会長の発言は性差別そのものです。擁護できる点はありません。政権与党である自民党議員も強く批判すべきですが、そういった声はほとんど聞こえてこない。結局、長年“サル山”の頂点にいた森会長の下で政治的利益にあずかってきた自民党議員は、批判できないのでしょう。でも、“サル山”の理論は、国民には全く関係のない話です。世界中から批判が上がっている今の状況を全く理解できていないのでしょう」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
官邸に近いと指摘された黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長問題が噴出した際も、安倍前首相は「(黒川氏は)余人をもって代えがたい」と擁護。その後、黒川氏の賭けマージャンが発覚し、世論の猛批判を招いた。自民党は、いつまで森会長をかばい続けるのか。