時津風親方の「我慢できない性分」協会追放も反省の色なし
誰からも同情されないまま、角界を去っていった。
22日の臨時理事会で「退職勧告処分」とされた時津風親方(47=元前頭時津海)。コロナ禍により、不要不急の外出が禁止されていた1月場所中、5日連続で雀荘に通い、さらにマッサージ店や風俗店通いも明らかになっていた。
本人はすでに退職届を提出しており、協会はこれを受理。退職金は30%減額で支払われ、間垣親方(元前頭土佐豊)が新たに時津風の名跡を引き継いだ。
収まるところに収まった形だが、当の本人は最後の最後まで悪びれる様子はなかった。コンプライアンス委員会からは「反省の色はみじんもなし」と切り捨てられ、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は理事会後、「(時津風親方からは)申し訳なかったという感じは受けなかった」と話したほど。相撲協会の親方衆は仲間意識が強く、時津風親方をかばう声があっても不思議ではないのに、ここまでバッサリやられるのはよほどのことだ。
■まるで他人事
22日の理事会に呼び出された際、会議室のドアを開けて中に入ったあとも、ほぼ無言。自身への処分も、まるで他人事のように無表情で聞いていたという。
しびれを切らした八角理事長(元横綱北勝海)から「何かないのか」と問われ、ようやく「反省しています。ご迷惑をおかけしました」と謝罪を口にしたという。
「理事会の出席者から聞いた話だが……」と、ある親方がこう続ける。
「やってしまったという悲愴感もなければ、ふてくされて反発していたわけでもない。出席者のひとりは『打っても響かない。すべて上っ面、他人事という印象だった』とクビをひねっていましたからね。時津風はおそらく、自分が何をやらかしたのか、本気で理解していない。というか、たまたま見つかってしまっただけで、運が悪かったとしか思っていない。過去の理事会やコンプライアンス委員会の聞き取り調査でも、不要不急の外出について『(遊びに行くのを)我慢できないですよ』と平然と語っていたほど。その上で、『よくわからないけど、辞めるんだからそれでいいでしょ』と半ば開き直っているのです」
謹慎中に動画に出演し弁解を繰り返す
退職届が受理された22日には、元神奈川県警刑事のジャーナリスト、小川泰平氏のYouTubeチャンネルに出演。そこでも協会の調査で語ったように、「雀荘には行ったけど、その店は現在は営業してないし、麻雀も打ってない」などと、弁解を繰り返していた。
「その動画が収録されたのは今年の1月下旬。つまり協会に謹慎処分を食らっている最中ですからね。そもそも麻雀を打った打たないの話ではなく、不要不急の外出をしたこと自体が問題というのがわかってない。しかも『遊びを我慢できない』というこらえ性のなさが本気で免罪符になると思い込んでいるフシもある。つまり、我慢できないのだから仕方がないという理屈なのだから、どうかしてますよ」(前出の親方)
ちなみに1月場所中の風俗遊びは、国技館への出勤前。一発抜いてから職場に行ったというのだから、いやはや、だ。
ほとんどの親方や協会職員は「昨年9月の一件で反省したと思ったのに……」と、口を揃える。
時津風親方はコロナ禍の渦中だった昨年9月、県外にゴルフ旅行をしたことがバレ、協会に9月場所謹慎、2階級降格処分を食らったばかり。さらに9月場所直後に急性膵炎で入院、緊急手術を受けている。一時期は生死の境をさまよい、11月には八角理事長から「次はないぞ」と注意されていた。それでも雀荘や風俗店に通っていたのだ。
■2010年には野球賭博で謹慎処分
時津風親方が処分を食らったのはこれで3度目。2010年は野球賭博に手を染めていたことが発覚し、1階級降格と5年間の昇進見送り処分に。そして昨年9月と今回の件だ。
かつては世間と角界の同情を一身に集めた時期もある。07年に時津風部屋で新弟子リンチ殺人事件が起き、当時師匠だった15代時津風親方(元小結双津竜)は協会から解雇された。当時現役だった時津風親方は、後継者として無理やり引退させられた経緯がある。
とはいえ、今の時津風親方を同情する声は角界にも皆無。当の本人は今ごろ、「そこまで悪いことしたかなあ?」と本気でクビをひねっているかもしれない。