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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

錦織圭は「ダブルス一本」で五輪を乗り切れ…右手首の故障に不安、大事な31歳

公開日: 更新日:

 前回のリオデジャネイロ大会で松山英樹が欠場を決めたとき「ぼくも出たくないと思いました」と言いながら、3位決定戦ではナダルを2時間49分の死闘の末に下してメダルを手にした。今回も「死人が出てまで行われることではない」と発言してヤリ玉に挙がったが、出場すれば故障を忘れて死に物狂いでプレーするのが選手本能だ。

■混合は大坂なおみ、男子はマクラクラン勉と

 自国開催だけに欠場という選択肢は現実味がない。ただ、冒頭のテニス事情を酌めば次善の策がある。シングルスを回避し、マクラクラン勉と組む男子ダブルスに加え大坂なおみとのミックスダブルスに出る――そもそも「観客から死人が出るのでは」と言うほど東京の酷暑を警戒していた。シングルスとダブルスでは肉体的にも精神的にも負担がまったく違う。

 テニス協会が結果にこだわるのはメダル数によるJOC補助金の多寡で、単複の種目は関係ない。もし実現すれば、問題児扱いされている大坂なおみの復帰の手掛かりにもなり好都合だろう。欲深い協会は3種目すべてと言いかねないが、31歳は大事な時期。和やかなダブルス2種目でみんなを楽しませる――オリンピックのテニスはこれくらいがちょうどいい。

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