北京冬季五輪は人権問題がネックに 米国がボイコットなら日本は追従するのか?
不当逮捕が当たり前の中国では、北京で開かれた08年の夏季五輪の際、ホームレスや日雇い労働者が排除されただけでなく、100万人以上の市民が住んでいる場所から強制退去させられた。中国は「ショーウインドー都市」をつくりあげるため、多くの市民を犠牲にした。来年の五輪でも多くの市民が泣くことは想像に難くない。
中国は冬季競技は苦手(前回の平昌五輪では、金1、銀6、銅2)だが、習近平国家主席は2度目の五輪では、大気汚染やコロナの感染源の隠蔽などの不信感を払拭したい。
■中国は「まさか、と思うことを平気でやる国」
そんな中国と、ハイテク摩擦や不公正な貿易慣行、人権問題などで衝突している米国が、五輪のときだけ仲良く盛り上がろうというわけにはいかないだろう。
米国が北京五輪に背を向けたら、日本はどうするのか。80年モスクワ五輪のときは米国に追随する日本政府の圧力に屈し、日本オリンピック委員会がボイコットを決めたのだが……。
「日本にとって中国は最大の貿易相手国であるが、一方で両国は尖閣諸島をめぐる領土問題を抱えている。日米政府は、尖閣諸島が日米安全保障条約(第5条)の適用範囲内にあることを再確認している。この問題ひとつとっても、日本は米国の方針に従わざるを得ないでしょう。『琉球王国は中国の属国だった』という国です。そのうち米軍基地のある沖縄本島の主権まで主張するかもしれません。まさか、と思うことを平気でやる国ですから」(松野氏)
東京五輪の開催はコロナで揺れたが、北京五輪は人権問題がネックになりそうだ。