PGAツアーがピリピリ!新ツアー「LIVゴルフ招待」を目の敵にする理由
トッププロ流出による視聴率低下に危機感
PGAツアーもDPワールドも、当初からLIVに参加すれば、出場資格を剥奪すると警告を出していた。というより、PGAツアーにはLIVそのものを潰す意図すら感じられた。
1994年にグレッグ・ノーマンがサウジアラビアからの資金援助を受けてワールドゴルフツアーを企画したがトッププロが集まらず、いつの間にか構想は消滅した。その時もPGAツアーが陰で動いたとみられ今回も同様だと思われる。
当初LIVに関心を示していた選手はフィル・ミケルソン、リー・ウェストウッド、イアン・ポールター、セルヒオ・ガルシアらピークを過ぎた選手ばかり。PGAツアーは「新ツアーはうまくいかない」と甘くみていた節がある。
ところが初戦にはダスティン・ジョンソンが出場し、2戦目からはブライソン・デシャンボー、パトリック・リードも参戦予定。米メディアの報道によると、メジャー4勝のブルックス・ケプカまでLIVに移るという。
デシャンボーは、「(参戦を決めたのは)ビジネス上の判断だ。自分の家族とも時間がつくれるのが第一の理由だ」と語る。だが、1億ドル(約135億円)ともいわれる支度金に加え、賞金が高額で、年間出場が少なくて高収入が得られるのならと、LIVになびく選手は増えてきそうだ。PGAツアーは、これ以上トップ選手を失えない状況に追い込まれている。
LIVのフィールドは48選手、年間8試合が予定されており、2戦目(6月30日~7月2日)はポートランドで行われる。PGAツアー「ジョンディア・クラシック」とバッティングし、ニュージャージーの3戦目(7月29~31日)は「ロケット・モーゲージ」と重なる。9月以降もボストン、シカゴ、フロリダと米国などで5試合が予定されており、PGAツアーが新ツアーにピリピリする理由がよくわかる。
(ゴルフライター・吉川英三郎)