<35>選手とメディアの関係性 某大手新聞記者に「ちゃんと仕事してます?」と自ら絡みにいった
フィギュアスケートの羽生結弦選手が現役引退を発表した。その一報が流れたのは、本人からの「発表」ではなく「報道」だった。
メディアが毎日スクープを取ろうと取材に明け暮れているのは理解しているが、この報道で、批判が出たのも事実だ。
私は現役の頃、自分のニュースや記事をくまなくチェックするタイプではなかった。気になっていたのは、どんな写真が使われているかということくらい。変な顔の写真だったら嫌なので(笑)。
私はおかげさまで、いわゆる「おかしな記事」が出たことはなかった。ただ、(橋本)聖子さんは違った。今でも日本では珍しいが、聖子さんはスピードスケートと自転車競技との二刀流選手。「日本国内では強くても、海外では通用しない」「二足のわらじでどちらも中途半端だ」とずいぶん批判された。書いた記者さんに長田監督が「取材はもう受けない」と言っているのも聞いたことがある。
聖子さんは当時、特定の信頼できる記者さんたち以外とのコミュニケーションは取らず、ストイックに勝負に邁進しているのが印象的だった。私はというと、いつもしゃべりすぎて、監督から「おまえ、いつまでしゃべっているんだよ!」と怒られていた。