電通に頼り切りだったJOC…特捜が動く五輪組織委元理事の収賄疑惑の背景
東京五輪・パラリンピック大会組織委が6月30日に解散した日、橋本聖子組織委会長が「誰も経験したことのない(コロナ禍での)大会を乗り越えた『人』がレガシー(遺産)」と胸を張ったが、組織委の理事を務めた高橋治之氏もレガシーなのだろうか?
在任中に、自身が代表取締役を務めるコンサルティング会社が東京五輪スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス」(AOKI)とコンサル契約を結び、AOKI側から4500万円超を受領、それが高橋氏への資金提供だった疑いがあると東京地検特捜部が捜査している。
コロナ禍での五輪に反対する人々がいる中で開催された東京2020は、選手たちの全力を尽くす姿が感動を呼び、それまでにかなり傷ついたオリンピックのイメージを挽回したはずだった。高橋氏への疑惑によってその名誉は再び危機に瀕している。
そもそも高橋氏が組織委の理事になぜ名を連ねたのか? それは彼が電通OB(元専務)であることに大きく関係している。組織委事務局は政府、都、スポンサー企業などからの出向で成り立っている。五輪運営の専門知識はもちろん、資金繰りもイベント運営も、広報も、企画も、メディア対策も一から始めなければならない。