大谷“死守”し80億円節約に成功も…今オフもトレード争奪戦必至、失態続きのGMにエ軍再編の重責
トレード市場の目玉だったエンゼルス・大谷翔平(28)の残留が決まったが、チームは他の主力を一斉に売り出すファイアセールに踏み切った。
日本時間3日のトレード期限最終日に先発右腕シンダーガード、外野手マーシュの2人をフィリーズ、守護神イグレシアスをブレーブスにそれぞれ放出した。エ軍は見返りとして各球団の若手有望株3人を含む5人の選手を獲得した。
大谷のトレードを見送ったミナシアンGMは「特定の選手の契約に関する話はしないが、我々はショウヘイが大好きだ。ショウヘイは毎日準備をして、フィールド内外でも素晴らしい。こんな選手にはエンゼルスでプレーしてもらいたいが、この先どうなるかは(状況を)見ていくしかない」と話した。
大谷を巡っては、ヤンキース、メッツ、ドジャース、マリナーズなど10球団以上がエ軍に譲渡を打診したとみられている。今季中のトレードは消滅したが、ヤンキース、メッツといった資金力豊富な球団が関心を寄せていることから、一からチーム編成に着手する今オフは、大谷の争奪戦が再燃するのは必至だ。スポーツ専門局ESPN(電子版)は3日、大谷の去就について「今オフ、エ軍は長期契約をオファーするだろうが、オオタニが拒否した場合、放出に動くのではないか」と報じたが、エ軍は今オフも商談に応じるつもりはなさそうだ。
すでにミナシアンGMは「(主砲の)トラウトと大谷を中心としたチームになる。選手層の厚いチームをつくるには、たくさんの方法がある。ドラフトもあるし、FAにトレードもある。彼らとともに強いチームをつくる」と編成方針を明かしているからだ。
今回のトレードでエ軍がイグレシアス(4年総額約77億円)、シンダーガード(1年約28億円)の高給取りを放出したことで球団の財政は改善された。地元紙「オレンジ・カウンティー・レジスター」によれば、エ軍は2人の残りの年俸を負担しないため、今回のトレードで約79億円の人件費を削減したという。
■ぜいたく税上限ギリギリまで増額
メジャーに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言った。
「失態続きだったミナシアンGMは今回、珍しくいい仕事をしました。高給取りの2人を放出して80億円近い補強費用を捻出したからです。今オフ最後の年俸調停を迎える大谷の来季年俸は30億円規模になり、エ軍は年俸総額をぜいたく税の上限(約312億円=2023年)いっぱいまで上積みすると予想されている。今回浮いた資金と合わせてそれなりの補強を行い、ミナシアンGMの方針である『トラウトと大谷を中心としたチームづくり』に取り組むことになる。先発ローテの整備と救援陣の立て直しを図って大谷が熱望する『ヒリヒリする9月』を目指すはずです」
今回のファイアセールは、トラウトと大谷を中心としたチーム再編の準備というのだ。