プロデューサー康芳夫氏が語る 幻となった世紀の一戦「“人食い”アミンvsアントニオ猪木」
「アリもいなくなったし、猪木君まで天に召された。いよいよ僕一人になってしまったなあ」
感慨深くこう語るのは伝説の呼び屋でプロデューサーの康芳夫氏(85)である。康氏と10月1日に79歳で亡くなったアントニオ猪木の縁は深い。1976年に行われたアントニオ猪木vsモハメド・アリの異種格闘技戦。この一戦にも康氏は深く関わっていた。
「アリは72年に初来日し、マック・フォスターとノンタイトル15回戦を戦ったんだけど、この試合を手掛けたのは僕なんです。だからアリのマネジャーや顧問弁護士にコネがあった。それでアリと戦いたいという猪木君に紹介したんです。コーディネーターだね。試合は八百長なしの真剣勝負。結果として“世紀の凡戦”なんていわれましたけど、そもそも囲碁対将棋みたいなものだからね。猪木君もわかっていたんだろうけど、プロレスの地位を高めたかったのでしょう」